レアメタル投資入門

貴金属ETFを組み込んだ最適なポートフォリオを作ろう!という目的ではじめましたが、最近はイロモノETFの紹介サイトになりつつあります。

【プラチナETF】~プラチナへの投資~【1541&PPLT)】

 ブログ更新を2ヶ月以上もサボってしまいました。久々の更新ですが、今回は貴金属のトリを飾るプラチナ(白金)について紹介と考察をしていきたいと思います。

  なお、2019年11月2日現在のプラチナ価格は3,700円/g(MMC販売価格)です。

 1.白金(以下プラチナ)とは

 プラチナは白金族に属する遷移金属元素で、融点が高く耐食性に優れ、化学的に安定していて酸化しにくい特性を持ちます。また、非常に希少な金属で埋蔵量は金よりも少ない元素です。 

2.プラチナの産地と需給

表1. プラチナの産地と需給の推移

 

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 プラチナの生産地の約7割は南アフリカに偏っており、残りがロシア、ジンバブエ(!?)と続いています。その南アフリカの鉱山も内情は厳しいらしく、政治情勢や労働争議、労働安全上のリスク等々に晒されており、市場を独占していても安泰とは程遠いようです。

 また、プラチナの用途としては、全体の約4割が自動車用排ガス触媒、3割が宝飾品で、その他化学プラントにおける触媒としても用いられています。自動車用排ガス触媒は主にディーゼル車用の触媒として用いられており、ディーゼル車のシェアが高い欧州でのプラチナ消費量は他地域よりも多くなっています。ちなみに、以前に紹介したパラジウムはガソリン車用の触媒として用いられています。

一方で投資用は2017年で全体消費量の4%と比較的低い比率ですが、ETF含む投資用プラチナの需要は増えつつあるというデータもあります。 

3. プラチナETF

 プラチナ購入方法は金・銀と同様に現物購入、投資信託等各種ありますが、このサイトではETFに焦点を絞って検討していきます。

 

 その1. 1541プラチナ信託(プラチナの果実)

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 図1. プラチナの果実価格チャート

 

管理会社:三菱UFJ信託銀行

ベンチマーク東京商品取引所 先物価格(1gあたり)

純資産:約95億円

経費率:0.55%

年初来高値:3,195円

年初来安値:2,628円

取引量:3,957株(2019/11/1)

分配金:なし

 

 今回は珍しく東証ETFを先に紹介します。プラチナの果実は東証の商品ETFとしては取引量は多く1日あたり1千から10万株程度で推移しています。(ちょっと差が多くないですかねぇ?)。ベンチマークは国内先物取引所のプラチナ1グラムあたりの価格です。プラチナETFを買うにあたっては特別理由が無い限り、プラチナの果実を買えばいいかと思います。理由は次項。

  

その2. PPLT(アバディーン・スタンダード・フィジカル・プラチナム・シェアズ)

PPLTはプラチナ価格に連動するETFです。米国でプラチナ単独に投資できるETFで買えるものはPPLTのみです。

 

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図2. PPLT価格推移チャート

 

運営会社:Aberdeen

ベンチマーク:ロンドンプラチナ価格

純資産:約729百万ドル

経費率:0.60%

52週最高値:93.47ドル

52週最安値:73.84ドル

平均出来高:約22万株

購入できる証券会社:サクソバンク証券のみ

 

解散。PPLTがプラチナの果実に勝っているのが純資産と出来高くらいしかありません。普段私は東証ETFのことをボロクソに言う傾向がありますが、今回は素直に東証ETFの方が良いと断言できます。

 

4. プラチナへの投資に関する考察

 ここで少し金属元素以外の「プラチナ」という言葉がどのように用いられているか考えてみることにします。「プラチナチケット」「プラチナカード」等、高い希少性や上位のブランド価値を持つイメージがあり、それはゴールド(金)以上の価値であると認識されています。一方で、現実のプラチナの価格は意外とシビアです。

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図3 金VSプラチナ 価格推移表(ドル/オンス)

 こちらは金とプラチナの1オンスあたりの価格比較の長期推移を示したものです。1960年代より長期に渡ってプラチナ価格は金価格を上回り、とりわけ90年代後半から2008年ごろまではプラチナの価格は金を大幅に上回っており、まさに貴金属の王者として君臨してきました。一方でリーマンショック以後はプラチナ価格は下落の一途で、現在は金に50%近い価格差をつけられています。(金5,800円/グラムに対して、プラチナ3,700円/グラム)

表2. 米国貴金属ETF

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表3.日本貴金属ETF

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 次に米国と日本の主な貴金属ETF時価総額を表にしたものをご紹介します。今まで弊ブログにて金、銀、パラジウムそしてプラチナと4種の貴金属ETFをご紹介してきましたが、それぞれの貴金属間で時価総額を比較してみました(一部未紹介のもの有)。すべての貴金属ETFを網羅したものではないのでご注意願いたいのですが、おおよその規模感はわかるものかと思います(以下のパーセンテージについても参考扱いです)

 米国も日本も貴金属ETFとしては金が占める割合が9割近いという点では共通しますが、銀及びプラチナの規模が大きく異なっている点が見て取れます。米国では金と銀で99%近くを占めている一方で、日本では金の次に総資産が多いETFはプラチナで金とプラチナを併せて約95%程度を占めています。また、米国に上場している商品ETF(GSG、DBC等)が組み入れている貴金属は金と銀です。

 以上より、米国ETFにおいてはプラチナの重要度は低いと言えます。実はプラチナを買うのが好きなのは日本人だけなのではないかという説まで私の中では浮上しています。このあたりをより詳細に調べるに当たっては米国と日本(加えて英国も必要でしょうが)の現物/先物取引における金、銀、プラチナの取引量を比較する必要があるのかもしれませんが、それは今後の課題といたします。

 

5.プラチナ価格の今後

 現在のプラチナ価格は金に比べて劣後しています。また、主な用途はディーゼル車用の部品ですが、自動車生産台数は景気動向を受ける上に数年前にフォルクスワーゲンが起こしたディーゼル車の検査不正の影響もあり、ディーゼルエンジン搭載車の今後の生産自体が疑問視されているのが現状です(ボルボディーゼルエンジンやめるってさ)。また、生産の大半を占める南アフリカでは当座の利益確保のためにプラチナ輸出を止められないという事情もあり、供給過多が叫ばれています。いくつかのレポートを読む限り、プラチナ価格は当面軟調に推移するという予想が多いです。一方で、ETF含む投資用商品として需要が高まることで需給に関係なく価格が高騰する可能性があるという正反対の予想もされています。以上より、プラチナ価格は下がり続ける、上がり続ける両方の可能性が示されている状況です。

 私個人としては、上昇余地はあるものと考えています。というのも、比較対象の金や銀に比べて下がりすぎている点に加え、ガソリン自動車用触媒として用いられているパラジウムが高騰しすぎており、代替としての白金触媒が開発される可能性がある…かもしれないという理由が挙げられます。一方で、今の相場環境でプラチナをポートフォリオに加える理由があるかという点は別であることは付け加えておきますが。

 

6.まとめ

・プラチナETFを買うなら1541(プラチナの果実)

・思ったよりプラチナの価値は高くない。レア度と価値は別

・プラチナ価格の今後は専門家の間でも割れている

 

[参考文献]

・ファクトシート

・鉱物資源マテリアルフロー2018 5.白金族(PGM) (JOGMEC)

・PGM Market Report May 2019 (Johnson Matthey)

 

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【銀ETF】~銀への投資~【SLV &1542】

 不安定な天候が続く残暑の中、いかがお過ごしでしょうか。今回は銀ETFの紹介を行いたいと思います。ちなみに、現在の銀価格は約60円/グラム程度です。

 

1.銀の用途・産地 f:id:srin_material:20190825001240p:plain

 銀は金と同様に通貨や宝飾品として古来より用いられている金属です。延性・展性に優れており、電気抵抗率も最も低い金属です。工業用としても広く利用されており、かつてはフィルムの感光材として用いられていましたが、現在は太陽光パネル材料や電子材料としての用途が主となっています。銀イオンは殺菌作用を持つため、抗菌剤としても用いられています。 f:id:srin_material:20190825001259p:plain

銀の主な産地はメキシコ、ペルーといった中南米で、中国・ロシアが続いています。

 

2.SLV iシェアーズ シルバー・トラスト

 SLVは銀価格に連動するETFで、米国に上場する銀ETFとしてはほぼ唯一のものになります。

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SLV 価格推移(2年)

ベンチマーク:LBMA銀価格

純資産:約65.7億ドル

経費率:0.5%

保有量:約3億8544万オンス(約1.1万トン)

52週最高値:16.36ドル

52週最安値:13.11ドル

平均出来高:約16百万

 

銀価格は近年低迷していましたが、ここ最近値上がりしてきています。

金、銀、株式の相関係数等(2017年8月~2019年7月) 

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金、銀と株式の相関係数、年次リターン及び標準偏差も掲載します。同じ貴金属である金との相関係数は0.74と強い相関があります。一方でリターンについては金に劣後しており、2年間のリターンは依然としてマイナスです。(ここ最近の金価格が高騰しすぎているという面もあるでしょうが)標準偏差も金より大きく、S&P500よりも大きな値動きを示しています。

 

3.1542純銀信託(純銀上場信託)

 日本市場の銀ETFである1542純銀信託についても併せてご紹介します。

 

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1542 価格推移(2年)

管理会社:三菱UFJ信託銀行

ベンチマーク東京商品取引所純銀先物価格

純資産:48億円

経費率:0.54%

年初来高値:5,440円

年初来安値:4,780円

取引量:1,292株(2019/8/23)

 

 東証ETFとしては取引量が多いですが、SLVとは文字通り桁違い(に少ない)です。経費率はSLVより高いですが、購入手数料等を加味すると大差ないかと思います。実は1542以外に1673という銀ETFもありますが、取引量の少なさからご紹介はしておりません。東証ETFはこんなのばっかり)

 

4.総評

 金銀と並べて評される貴金属ですが、銀は金と比べて値動きが大きく、ETFの経費率も高い傾向があります(金は0.25~0.4%程度)。株式、金とも異なる資産としてある程度は有用かと思います。国内ETF、海外ETFはどちらも一長一短ですが、大量に購入するのでなければ国内ETFでも十分かと思います。

 また、銀ETF以外にも総合コモディティETFや貴金属ETFにも銀が組み入れられているので、必ずしも銀ETFを個別で買う必要が無いことは留意すべきでしょう。(ETFなのに個別銘柄とはこれ如何に)

 

5.雑感

 SLVの銀保有量1.1万トンですが、世界の年間供給量の1/3程度とすごい量になっています。需給表を読むと、ETFの在庫構築のために年間千トン単位で購入されている年もあり、貴金属としての強さは健在と言えるでしょう。SLV以外にも総合コモディティETFに銀は組み入れられていることから、ETFのための銀需要の大きさは光ります。(しかし、どこに保管しているのやら)

 

[参考文献]

JOGMEC マテリアルフロー2018

各ファクトシート

 

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2019年8月ポートフォリオ最新版公開

 いよいよ夏も本格化する中、目まぐるしい市況で日々変動する株価をご覧になられている皆様方へ。

 今日は2019年8月現在の私のポートフォリオの公開と、最近買い入れた銘柄についてご報告させていただきます。 

 

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1.2019年8月7日現在のポートフォリオ 

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 私の保有銘柄一覧は上の通りです。赤枠で囲ったのが、前回公開した4月から追加された銘柄です。また、以前は保有していたシュルンベルジェを本日売り払いました。

【参考】2019年4月8日のポートフォリオ 

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2.保有銘柄について個別説明

 前回に引き続いてその銘柄を保有する理由を備忘録も兼ねて簡単にご紹介します。

 

IEF(iシェアーズ米国債7-10年ETF):

 オールウェザーポートフォリオで15%の組み込みを推奨された米国中期国債ETFです。長期国債ETFであるTLTとほぼ同等の相関性を持ち、株式と負の相関性を持つアセットクラスです。配当利回りはTLTよりやや低めですが、TLTよりもボラティリティが低く市況を気にせずに購入できます。私は5月頃からずっとIEFを買い集めていました。(参考ですが、デュレーションはIEFは約7.5年、TLTは約17.9年です)

UGL(プロシェアーズ・ウルトラ・ゴールドETF)

 金への投資検討を行った結果、購入に至ったETFです。金の日次値動きの2倍に連動するレバレッジETFです。試しに購入したところ、買った直後から金価格が上昇しており、嬉しい反面買い増しのタイミングを逃してしまっています。 

TIP(iシェアーズ 米国物価連動国債ETF)

 ややマニアックな物価連動国債(インフレ連動国債)を最近購入しています。コモディティETFであまりピンと来るものが無かったのでいっそ物価そのものへ投資できないかと思い立ったために購入を決定しました。デュレーションは7.7程度でIEF(中期国債ETF)と同じ程度ですが、利回りはIEFよりも低いです。これはインフレ耐性がある反面、利回りそのものは通常の国債よりも低く設定されているためです。(そのうち個別記事にしようかと思います) 

売却:SLB(シュルンベルジェ)

 長らく大幅な含み損を抱えていたシュルンベルジェ損切りしました。元々損切ということは考えていなかったのですが、エネルギー銘柄はVDE(エネルギーセクターETF)で十分カバーできると思い売却しています。(損失は4桁ドル)

 

3.今後の購入方針

・毎日一定金額のドル転を続ける。米ドルを毎日一定金額購入し、毎週水曜日または木曜日に買い増し(SBI買付手数料改訂にともない変更)

・RTN(レイセオン)はユナイテッド・テクノロジーズとの合併が予定されているため、近日中に処分予定。その他個別株も次期に処分。

・TIPやUGLも追加購入の方針。

 以上が今の所の運用方針です。金ETFを購入したことでようやくタイトル詐欺ブログからは脱却できましたが、比率としてはまだ低いのが実態…

 

4.おまけ

ポートフォリオ(ETF抜粋)

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 ETF部分のみで見た場合、かなりオールウェザーに近づいてきていると思います。また、ここ数日の株価下落の影響も軽微で済んでおり、引き続き安定したポートフォリオ構築を続けていきたいと思います。

 

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金への投資その3~金鉱株という選択肢~【GDX】

 長い梅雨も終りを迎え、ようやく夏らしくなりつつある昨今いかがお過ごしでしょうか。今日は金への投資検討の第三段として、金鉱株ETFであるGDXについてご紹介していきたいと想います。

1.金鉱株とは?

 金鉱株とはその名の通り金を鉱山から産出し生産する会社の株式のことです。金投資の一種でありながら、株式へ投資するというかなり変則的な投資手段になります。金そのものに裏付けされた価値は無い一方、金を生み出す資本への投資であるため生産的な投資であると言えましょう。

2. 【GDX】ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETFについて

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GDX価格チャート

・ヴァンエック金鉱株ETF GDXとはヴァンエック社が運用する金鉱株ETFです。

 ベンチマークNYSE Arca Gold Miners Index(GDMNTR)

 純資産:約105.4億ドル

 経費率:0.53%

 構成方法:時価総額加重平均

 取引所:NYSE Arca  

 52週最高値:28.41米ドル

 52週最安値:17.28米ドル

 

 また、GDXの構成銘柄及び構成国は以下の通りです。

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 半数近くをカナダの企業が占めており、アメリカとオーストラリアが次点となっています。会社名は聞いたことの無い会社ばかりで、いわゆる非鉄メジャーのような会社は指数にノミネートされていません。銘柄の金鉱株指数への採用基準について確認したところ

・外国人投資家が購入できる銘柄であること

・収入の50%が金の採掘収入であること(40%を下回ったら指数から除外)

 等が挙げられていました。これらより、一般に市場に流通する株式会社のうち、金産出専業またはそれに近い会社のみが指数に採用されることになります。

 …この採用の考え方は、投資する上で有用な指数であるか正直疑問だと思います。金鉱業の景気動向を伺うには有効かもしれませんが、分散投資の観点からは逆を行く考え方だと思います。金鉱会社も株式指数に採用されるために鉱山掘っているわけではないので、金以外の金属も生産して事業の安定化を図るのが自然だと考えられます。(金の採掘・生産が安定しているために積極的に他金属を生産するモチベーションが無いという考え方もありますが) 

3. 金鉱株ETFと金ETFの比較

GDX vs GLD vs SPY (2017年1月~) 

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 以前に紹介した金ETFであるGLDとGDX及びSPYの相関性、リターンと標準偏差を比較表してみました。比較した期間だけ抽出した場合GDXのリターンはGLDを上回っていますが、長期的に見た場合は必ずしもGDXが優位とは言えません。また、GDXとGLDの相関係数は0.81しか無く、金鉱株価が金価格を必ずしも反映しているわけではないというのも注意すべきです。

 一方でGDXとSPY相関係数もほぼ0であり、金鉱株価と主要株式が連動しているわけでもありません。日次標準偏差も注意すべきで、1.57%と金価格やS&P500の2~3倍という非常に高いボラティリティを持つ銘柄です。経費率も0.53%とGLDの0.4%を大きく上回っています。

 以上より、金鉱株ETFは高いボラティリティを持つハイリスクな銘柄であると言えます。

4. 結言

・GDX(ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF)は金産出に(ほぼ)専従する会社のETF

・主に北米の会社を中心に世界中の金鉱株に投資している。

・金の価格に概ね連動するが、金の値動きに一致はしない。一方で株式市場とも無相関。

・金価格変動の2~3倍のボラティリティを持つハイリスクな銘柄。

 

5 雑感

 金への投資の一種でありながら株式投資でもあるということで以前より興味を持っていましたが、調べるほど…なETFだと思えるようになりました。経費率が高く値動きが激しい一方でリターンとしてもSP500等に劣後しており、金価格の変動に一致するわけでもありません。同じハイボラティリティ銘柄ならば金価格変動と一致する点で金レバレッジETFに投資した方がよいと私は判断しています。(UGL保有中)

 ちなみに、GDXには3倍レバレッジETFであるNUGTという銘柄が存在します。上場来の年次標準偏差は驚きの106.7%…うげぇ。

 

 

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インデックス投資ナイトお疲れ様でした&資産運用スキームの紹介

 インデックス投資ナイトに参加してきました

 当初のチケット争奪戦には敗れたのですが、追加枠を首尾よくゲットできました。インデックス投資ナイト含めてリアル投資イベントへの参加は初&一人参加だったので不安でしたが、現地では皆様方と楽しく交流することができました。名刺交換していただいた皆様方、ありがとうございました。イベントの内容については他のブロガーさんのレポートやツイッター等をご覧いただければと思います。(なんか私の実況ツイートが少々波乱を巻き起こしてしまったようですが)

 同席した方々とお話した中で米国株の購入スキームの話題になった時、SBI銀行とSBI証券を併せて使うと効率的ということを始めて聞いたという方がいらっしゃいまして、意外と知られていない事項なのかと思いました。米国株の購入スキームについては、同席したくらごろさんが早速ブログ記事にしていたので、私も追っかけでMy投資・資産運用スキームを紹介したいと思います。

 

1.srinの資産運用・投資スキーム

 私の使用している銀行や証券会社について紹介していなかったので、頭の整理も兼ねてフローチャートにしてみました。米国株購入の主な流れは以下の通りです。

 給与振り込みと生活資金はMUFGを使用しており、資産運用は主にSBIグループを使用しています。また、資金移動コストなしのプロセスを単線、資金移動コストありのプロセスを複線で描いており、自分で入金操作等をする行為は黒線、自動で買い付けをやってくれるところは赤線で描いています。(7/9改稿)

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①生活資金口座であるMUFG普通口座からSBI証券口座へ入金

理由:銀行口座間の振込手数料を恒久的に無料にする措置

SBI証券口座から直ちに住信SBIネット銀行ハイブリッド口座に振替

理由:ハイブリッド口座の方が便利だから

住信SBIネット銀行ハイブリッド口座から普通口座へ振替

理由:普通口座からじゃないと米ドルを購入できない。ただしハイブリッド口座の方が金利が高い

住信SBIネット銀行普通口座から米ドルを定期積立購入

理由:ドルコスト平均法でドル転できるから。また、SBI証券より住信SBIの方がドル購入コストが安いから

⑤約1200ドル貯まったらSBI証券口座(外貨口座)に入金

理由:手数料の関係で1111ドル以上でまとめて購入する方が有利なため…だったのだけど手数料改訂で見直し予定(7/9改稿)

⑥設計したポートフォリオに基づき米国株・ETFを購入 

 なんだこれは、カオスな資金フローだなぁ。前々からカオスな資金フローである自覚はありましたが、絵と文章にしてみると凄まじく複雑なチャートです。口座間送金手数料やドル購入手数料などを最小化し続けた結果、このようなカオスな流れになりました。ちなみに、米国株以外の積立NISA等の購入もハイブリッド口座を使用しています。

 また、米ドルやNISA積立のリードタイムを有効活用するため、IPO申し込みも行っています。まず当たりませんが、IPOポイントを貯めることで大きなリターンを得られる可能性があります(この辺はそのうち紹介するかもしれません)。紹介したフローチャートはこれでも簡略化しており、これにサクソバンクやファンディーノ等のその他金融機関へのやり取りもあるのですが趣旨から外れるため割愛しました。

 私の投資スキームの上で重視することは主に2つあり

その1:資金移動のコストは最小化すること

その2:資金のデッドストックは極力小さくすること

 以上2つを重視した結果となります。その2について補足しますと、積立投資を行っているとどうしても購入待ちの資金が口座に滞留して「死に金」となりがちだと思います。口座で積立を待っている資金の利回りを可能な限り高めようと試みた結果、現在に至ります。その結果、資産運用の操作が複雑になってしまっていますが…

 

2.結言

インデックス投資ナイトお疲れ様でした

・投資スキームの構築も今後の課題

2019/7/9 改稿(SBI証券の手数料見直し、運用フローの改訂)

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PGM(白金類)市場見通し【JOGMECレポート速報】

 JOGMECがPGM(白金類)市場の見通しのレポートを公開していましたので、簡単にご紹介したいと思います。

1.白金(プラチナ)の動向

・2018年からプラチナ価格は下落しており、世界の生産量は2017年比で1%減少。一方で主要生産国の一つである南アフリカの生産量は2%増加した。

・プラチナのリサイクル量は増加傾向。

・プラチナの主要用途である装飾品とディーゼル用触媒の需要は減少傾向。ガラス製造等の産業用途は増加しているが、全体としては2017年比で1.5%減少。

・2019年の装飾用、触媒用プラチナ需要は低調の見込みである一方、投資用プラチナ需要は増えており特にETFによる売り買いが増えている。

・プラチナの需給バランスは供給過剰が緩和される見込み。

 

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2.パラジウムの動向

パラジウムの2018年の一次生産量は2017年比1.6%減少だが、2019年は増加に転じる見込み。

・リサイクルによる2018年の生産量は2017年比5.3%の増加であり、2019年も引き続き増加見込み。

排気ガス触媒用需要が増加したが、価格高騰により産業用触媒需要は減少。総需要は横ばい。2019年は微増の見込み。

・2018年の需給バランスは供給不足であったが、2019年は緩和される見込み。

・排ガス用触媒の代替材料の開発は3年程度を要することから、価格が高騰してもすぐには代替品には置き換わらない。

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3.総論

・白金価格は引き続き低迷し、パラジウム価格は堅調に推移の見込み。

・白金需要の拡大と、パラジウム代替のために排ガス用触媒を白金に置き換える開発が進む可能性があり、2024年までに最大20%が白金に置き換わる可能性がある。

 

4.雑感

 パラジウムの記事で、価格高騰が進めば代替材料が開発されると予想しましたが、どうやら実際そのようです。また、ETFによる金属への投資が増えているというのが興味深いですね、誰が購入しているのかを調べてみるのも面白いかもしれません。GSGやDBCといった総合コモディティETFは白金を採用していないので、個別で購入しているものと考えられます。

 [参考URL]

出版物・レポート一覧|JOGMEC金属資源情報

金への投資を考える~その2~レバレッジETFの導入検討

 金への投資第2回目です。今回は、前回に引き続きまして金の購入を検討していきます。

 最初にお伝えしておきますと、金レバレッジETFであるUGLを購入してしまいました。 

metal-resources.hatenablog.com

( 前回の記事です)

 

1.金ETFおさらい

 候補とする金ETFは現物金を購入するGLD、レバレッジ2倍のUGL、レバレッジ3倍のUGLDの3つとします。他にも金ETFはありますが、経費率や出来高の違いが主となるため、割愛します。

 GLD :経費率:0.4%、日次標準偏差 0.71%、年間リターン1.50%

 UGL :経費率:0.9%、日次標準偏差 1.42%、年間リターン-1.62%

 UGLD :経費率:1.35%、日次標準偏差 2.13%、年間リターン-4.58%

 いずれも2016年4月からの値です。この数年間金の価格は低調でしたが、最近急激に金が値上がりしています。

 

2.金ETFのシミュレーション 

 理論上、リターンと標準偏差及び経費率が分かればその商品によって得られる期待値が計算できます。今回は、金価格の1971年6月からの金の平均リターン7.62%及び過去3年の日次標準偏差を元に、金ETFの年間期待値を計算してみました。1971年6月を起点としている理由ですが、ニクソンショック直前からのリターンとするためです。

 今回使用した計算ですが、ソフトはエクセルを使用しており、1日あたりの値動きをNorminv関数を用いて計算しています。試行回数は2000回、年間取引日数は250日を想定しています。現物金ETFであるGLDのシミュレーション結果は以下の結果となりました。 

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GLD運用シミュレーション結果(試行回数2000回)

 平均値 +6.67%

 中央値 +5.27%

 年次標準偏差 18.21%

 まともに計算されるのか不安でしたが、一応ですが年間利回りは設定した年間リターンに近い値に収束しています。また、年次標準偏差も過去3年間の平均値との大幅乖離はありません。乱数発生が非常に不安でなりませんが、数値の上ではだいたい合っている気がします。

 次に、UGLとUGLDを含めた計算結果をグラフにします。ただし、レバレッジが適正に反映されるのは日次リターンであるため、GLDの1日あたりの変動率を2倍または3倍した結果を示します。 

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運用シミュレーション結果(試行回数2000回)
GLD、UGL、UGLDのシミュレーション結果一覧表

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 GLDに対する標準偏差がUGLは約2倍、UGLDが約3倍となり、おおよそレバレッジ効果が反映された結果となりました。また、平均値についても得られる期待リターンがおおよそレバレッジに応じた値です。一方で中央値については大きな変動は無く、GLDの中央値1.053に対してUGL、ULGDの中央値はそれぞれ1.073と1.065です。このあと合計2万回ほど試行しましたが、平均値はGDL<UGL<UGLDである一方で中央値はGLD<UGLD≦UGLとなる傾向がありました。

 想定する年間平均期待リターンが7.62%は少々高すぎるかもしれませんので、年間平均リターン3%で同様の計算を行いました。 

GLD、UGL、UGLDのシミュレーション結果一覧表(金リターン3%想定)

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 年間リターンが3%の場合だとレバレッジETFは現物に比べてややデメリットが目立ちます。しかしながら、実は私は期待リターンに関わらずに金ETFレバレッジで買った方がよいと考えています。理由としては金ETFの手数料の高さにあります。例として、金とS&P500にそれぞれ3万ドル購入する場合の手数料を比較しました。レバレッジ3倍ETFを買い付ける場合は1/3の1万ドルを購入しています。 

ETF経費率比較

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 S&P500に投資する場合、VOOとレバレッジETFであるSPXLでは手数料の差分は86ドルとなります。一方で金ETFの場合だとGLDとUGLDの手数料の差分はわずか15ドルです。また、残った2万ドルでVOO等に投資することもできるため、実質的にはより大きいリターンを得られる可能性が高いと考えられます。

 

3.UGL購入

 以上の期待リターンと経費率をそれぞれ試算した結果、金レバレッジ2倍ETFである「UGL」を購入しました。レバレッジ3倍であるUGLDと迷いましたが、机上の理論だけを基にしてハイリスク資産を買うことに躊躇したのと、中央値で見た場合UGLとUGLDでほとんど差が無いことから日和ってUGLを買いました。

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UGL 3ヶ月チャート 

 5月に少量購入したのですが、買った途端に金価格が上昇しはじめて大幅なプラスリターンを得られています。もっと買っておくかUGLDにすればよかった…

 

結言

・金はレバレッジETFを購入する余地がある

・UGL買っちゃいました

 

ちなみに、今回の計算を行ったエクセルのデータは約50MBになりました。改良の余地があるので、改善しながら有効活用したいと思います。

 

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