金への投資その3~金鉱株という選択肢~【GDX】
長い梅雨も終りを迎え、ようやく夏らしくなりつつある昨今いかがお過ごしでしょうか。今日は金への投資検討の第三段として、金鉱株ETFであるGDXについてご紹介していきたいと想います。
1.金鉱株とは?
金鉱株とはその名の通り金を鉱山から産出し生産する会社の株式のことです。金投資の一種でありながら、株式へ投資するというかなり変則的な投資手段になります。金そのものに裏付けされた価値は無い一方、金を生み出す資本への投資であるため生産的な投資であると言えましょう。
2. 【GDX】ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETFについて
・ヴァンエック金鉱株ETF GDXとはヴァンエック社が運用する金鉱株ETFです。
ベンチマーク:NYSE Arca Gold Miners Index(GDMNTR)
純資産:約105.4億ドル
経費率:0.53%
構成方法:時価総額加重平均
取引所:NYSE Arca
52週最高値:28.41米ドル
52週最安値:17.28米ドル
また、GDXの構成銘柄及び構成国は以下の通りです。
半数近くをカナダの企業が占めており、アメリカとオーストラリアが次点となっています。会社名は聞いたことの無い会社ばかりで、いわゆる非鉄メジャーのような会社は指数にノミネートされていません。銘柄の金鉱株指数への採用基準について確認したところ
・外国人投資家が購入できる銘柄であること
・収入の50%が金の採掘収入であること(40%を下回ったら指数から除外)
等が挙げられていました。これらより、一般に市場に流通する株式会社のうち、金産出専業またはそれに近い会社のみが指数に採用されることになります。
…この採用の考え方は、投資する上で有用な指数であるか正直疑問だと思います。金鉱業の景気動向を伺うには有効かもしれませんが、分散投資の観点からは逆を行く考え方だと思います。金鉱会社も株式指数に採用されるために鉱山掘っているわけではないので、金以外の金属も生産して事業の安定化を図るのが自然だと考えられます。(金の採掘・生産が安定しているために積極的に他金属を生産するモチベーションが無いという考え方もありますが)
3. 金鉱株ETFと金ETFの比較
以前に紹介した金ETFであるGLDとGDX及びSPYの相関性、リターンと標準偏差を比較表してみました。比較した期間だけ抽出した場合GDXのリターンはGLDを上回っていますが、長期的に見た場合は必ずしもGDXが優位とは言えません。また、GDXとGLDの相関係数は0.81しか無く、金鉱株価が金価格を必ずしも反映しているわけではないというのも注意すべきです。
一方でGDXとSPYの相関係数もほぼ0であり、金鉱株価と主要株式が連動しているわけでもありません。日次標準偏差も注意すべきで、1.57%と金価格やS&P500の2~3倍という非常に高いボラティリティを持つ銘柄です。経費率も0.53%とGLDの0.4%を大きく上回っています。
以上より、金鉱株ETFは高いボラティリティを持つハイリスクな銘柄であると言えます。
4. 結言
・GDX(ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF)は金産出に(ほぼ)専従する会社のETF。
・主に北米の会社を中心に世界中の金鉱株に投資している。
・金の価格に概ね連動するが、金の値動きに一致はしない。一方で株式市場とも無相関。
・金価格変動の2~3倍のボラティリティを持つハイリスクな銘柄。
5 雑感
金への投資の一種でありながら株式投資でもあるということで以前より興味を持っていましたが、調べるほど…なETFだと思えるようになりました。経費率が高く値動きが激しい一方でリターンとしてもSP500等に劣後しており、金価格の変動に一致するわけでもありません。同じハイボラティリティ銘柄ならば金価格変動と一致する点で金レバレッジETFに投資した方がよいと私は判断しています。(UGL保有中)
ちなみに、GDXには3倍レバレッジETFであるNUGTという銘柄が存在します。上場来の年次標準偏差は驚きの106.7%…うげぇ。
metal-resources.hatenablog.com
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