【目指せ賞金100万円】iFreeタッチをはじめてみた【iFreeダービー 7/1~9/30】
大変お久しぶりです。公私共にドタバタしていて更新を止めてしまっています。
金への投資の続きのネタは大体出来ているので、間もなく投稿できると思います。
さて、今回はタイトル通り、iFreeタッチについて少々考察していきたいと思います。
1.iFreeタッチとは?
“「iFreeタッチ」はゲーム感覚ではじめる投資体験アプリです。バーチャルコンシェルジュ「リーナ」と一緒に投資を学びながら、仮想資金を元手に実在のファンドに投資。資産をどれだけ増やせるのか?を楽しめる新感覚アプリです。” -アプリ説明文より-
iFreeタッチは大和証券投信委託株式会社が運営する投信ブランド「iFree」を仮想運用するシミュレーションゲームです。目新しい点としては、投資信託を運用する点と、イラストレーター森倉円さんデザインのキャラクター「リーナ」(フルネーム”アイ・F・リーナ”)がバーチャルコンシェルジュとしてプレイヤーをアシスタント?する点があります。ちなみに、開発元はトーセだそうです。
2.iFreeダービー~目指せ賞金100万円~
このアプリが一部界隈で話題になっている最大の理由は、このiFreeダービーが予定されているからでしょう。iFreeダービーとは、開催期間中の運用利回りをランキングして、優勝者は100万円がもらえるイベントです。賞金総額は200万円で、その他にギフトポイントが貰えたりもするようです。
当然ながら私も参加予定です。
3.商品ラインナップと戦略の考察
iFreeタッチで選べるアセットクラスはiFreeのみですが、日本株、海外株といろいろと揃っています。金もコモディティも無いけれどな!ファンドの一覧と、ベンチマークに加えて対応するETFを掲載します。ただし、筆者は日本株や日本ETFが苦手なため、東証ETFについては信用しないでいただけるとありがたいです。(REIT等も同様。追って調査の上で整理したいと思います)
特徴的な点としては、レバレッジ投信もラインアップに含まれている点が挙げられます。また、最近は忌み嫌われるようになりつつあるアクティブ投信もファンドシリーズとして存在します。アクティブ投信をアクティブであるときちんと名言してある点では好感が持てますが、少々テーマ銘柄に傾倒し過ぎな気もします。また、インデックス投信と自称しておきながら日本ローカルで勝手に指数だと言い張っているような指数を採用しているものも混じっている気がします…まあこのあたりはゲームのせいというよりは、iFreeシリーズとしてのラインナップに依存するところですが。
さて、普段ならば経費率や相関係数等を比較しながらポートフォリオを構築するところですが、これはシミュレーター。たとえ99%の確率で資産がゼロになろうとも、1%の確率で優勝を狙えるポートフォリオを構築するのが得策となります。というわけで、既に以下の銘柄を購入済みです。
はい、私が現実のポートフォリオでも採用しているNASDAQ100をレバレッジで全力購入しました。多分これが一番強いと思います。ツイッターを見る限りではNASDAQ100レバレッジを全力買いしている人が多い気がします。NASDAQ100が上がればレバレッジを掛けている方がリターンが大きいですし、S&P500も同様なので当然と言えます。NASDAQ100とS&P500のどちらの上昇率が高いかは悩みどころですが、勝ちに行くためにハイボラティリティであるNASDAQ100を選択することにしました。
本来の投資のあり方からはかけ離れていると思いますが、このルール下ではポートフォリオ理論に基づく運用ではなく、レバレッジ投信と現金をスイッチしながら利益を最大化することが最適解だと思われます。ダービー期間内に暴落が来ることに賭けて日本国債or現金という運用も考えましたが、せっかくのお祭りですし素直にレースを楽しむことにします。
【結言】
・みんなで始めよう、iFreeタッチ
・ダービー期間は7月1日~9月30日
【余談】
ちなみに、初期ステータス100万円は現金ではなくiFree8資産バランスで与えられるので、全くの初心者の方はログインして即放置でもそれなりのリターンは得られるでしょう。
【GLD】金への投資を考える~その1~金ETFと選定【UGL&UGLD】
お久しぶりです。仕事が立て込んでおり、更新が滞りがちです。
今回から「金」への投資を念頭に入れた情報整理を行っていこうと思います。本格的に貴金属投資を検討し、購入する商品が決まり次第それで運用するつもりです。なお、一口に金を買うと言っても買い方が色々ありますので、その中から運用方針や目的に会った商品を選ぶ必要があります。
先に言ってしまいますが、私は海外ETFで金を購入することを検討していますので、どうしてもバイアスが発生してしまうと思いますのでご留意ください。
1.金の買い方
ざっくり思いつく限りの金への投資方法を羅列してみます。
その1:地金で現物を購入
その2:純金積立で購入(現物に交換可能)
その3:投資信託で購入(現物交換不可)
その4:国内ETF
その5:海外ETF
その6:先物取引
その7:金鉱株(金を採掘する金鉱山会社の株式への投資)
金に投資できるやり方はこんなところでしょうか。選定についてですが、アセットアロケーションとして金が欲しいから結果的に金価格に連動さえしていれば良いと考えるパターンと、金塊が欲しいから買うパターンとでは全くやり方が異なります。金そのものに価値があると考える場合はその1か2を選択することになるでしょうが、金価格ある程度連動さえしていれば良いと考える場合、その7に挙げている金鉱株という選択肢さえあります。私はアセットアロケーションとして金が欲しいだけなので、国内・海外ETFあるいは金鉱株(ETF)の購入を前提に検討を行います。
2.【GLD】SPDRゴールドシェアETF
GLDはステート・ストリート社(SPDR)が運用する、世界で最もメジャーな金ETFです。ニューヨークのみならず、東証やシンガポール等にも上場しており世界最大の金ETFと言っても過言ではありません。ちなみに、東証のティッカーコードは1326です。
ベンチマーク:LBMA金市場価格
現在価格:120.37ドル
運営会社:ステート・ストリート
時価総額:約326.5億ドル
経費率:0.40%
取引所:NYSE Arca、東証、シンガポール、メキシコ、香港
52週最高値:127.21米ドル
52週最安値:111.06米ドル
平均取引量:約760万
3.金と株価の関係
金と株価(S&P500)の相関係数、年間平均リターン及び標準偏差についてまとめたのが上の表です。統計期間は2011年11月から現在までのものです。
金と株式の相関係数はほぼゼロであるため、両者は独立した値動きをしていると言えるでしょう。また、リターンは株式が驚異的なリターンであるのに対して、金はマイナスリターンとなっています。興味深いのは日次標準偏差で、株式より金の方が標準偏差は大きい、言い換えると値動きが激しいことになります。株価が下がるようなときに買われる安定な資産というイメージのある金ですが、実態としては株価と連動しない上に激しい値動きをする資産であるという事実が浮かび上がります。尤も、これは日々の値動きベースで相関係数を求めたケースでのデータであり、金価格が上昇するような情勢で中長期的な統計をとった場合は事情が変わってくると考えられます。
4.金関連商品の検討
金購入にあたって懸念となるのは、金そのものは株式のように価値を産まない点と、金ETFの経費率が株式に比べて高いという2点になります。以上の2点を踏まえて金価格値上がりを享受する方法を検討したところ、レバレッジETFを用いて資産中の金関連ETFの保有率を下げられないかという手法を思いつきました。本来はポートフォリオ内で7.5%を占める金をレバレッジETFを用いて保有比率を下げた上で、余剰資産で支払うべき経費率+αを稼ぎ出そうという魂胆です。
5.【UGL】金レバレッジETFの検討【UGLD】
金レバレッジETFであるUGL及びETNのUGLDを簡単に紹介します。UGLは金の値動きに2倍のレバレッジをしたものであり、UGLDは3倍のレバレッジがかかっています。
・プロシェアーズ・ウルトラゴールド【UGL】
ベンチマーク:金地金
レバレッジ:2倍
現在価格:36.09ドル
運営会社:ProShares
時価総額:約7千万ドル
経費率:0.95%
取引所:NYSE Arca
52週最高値:43.19米ドル
52週最安値:31.92米ドル
平均取引量:約5.4万
・ヴェロシティシェアーズ3xロングゴールドETN【UGLD】
レバレッジ:3倍
現在価格:90.19ドル
運営会社:VelocityShares
時価総額:約1.08億ドル
経費率:1.35%
取引所:NYSE Arca
52週最高値:121.3米ドル
52週最安値:75.7米ドル
平均取引量:約8.3万
他にも金レバレッジETFはありますが、経費率や時価総額は似たようなものなので割愛します。次回以降の記事で、金ETF及びレバレッジETFによる運用を検討していきます。細かい話ですが、UGLは金地金の2倍の値動きをするのに対して、UGLDは金先物の3倍の値動きを目指しています。
6.中間まとめ
・金の値動きはイメージよりも大きい
・金自体は利益を生み出さないので、運用方針による商品の選定が必要
次回はゴリゴリのエクセルワークになります(苦労中)
ポートフォリオ公開と、今後の方針
今までの記事では目標とする運用方針やETFの紹介・分析を行ってきましたが、今回は私の現状のポートフォリオと、今後の購入方針について書いていきたいと思います。
1.2019年4月8日現在のポートフォリオ
私の保有銘柄一覧は上の通りです。ただし保有金額については当面非公開といたします。
現状はツッコミどころ満載としか言いようがありませんね。オールウェザーを目指すとか公言しておきながら、株式部分の比率が高すぎます。今年に入ってからTLT(米国長期国債)を買い増ししていますが、比率が全く足りていません。それ以上に、レアメタルどこ行ったと思うでしょう。まだコモディティどころか金さえ買っていません。理由ですが、今のポートフォリオを設計したのは運用方針がまだオールウェザーを意識していない時期であり、当時は株式7:債券3の比率が最適と判断したためにこのような形になっています。
また、キャピタルゲインに重きを置いたポートフォリオなので、TLTとABBV以外からほとんどインカムゲインは得られず、配当利回りは2%前後しかありません。
2.保有銘柄について個別説明
なぜその株式を保有するのかをきちんと考えた上で、文書化して記録することが大切とどこかで聞いたことがあります。備忘録も兼ねて、この場で購入目的と保有の理由について書き下ろしたいと思います。
ETF編
言わずと知れた長期国債ETF。株式と逆相関性がある優秀なアセットクラス。配当も高めだが、本命はリセッション時のキャピタルゲイン。
QQQ(インベスコトラストシリーズ1):
NASDAQ上位100ETF。構成銘柄の半分がFAAMGであり、事実上のハイテク総合ETF。ここ数年はS&P500をアウトパフォームしており、今後の活躍に期待。
小型株ETF。小型株は統計的に大型株よりリターンが大きいことから購入。QQQとIJRを合わせることで大型株と小型株をカバーできるので、組み合わせて運用。
ヘルスケアセクターETF。ヘルスケアセクターはリターンが大きいことから購入。配当は少なめで、どちらかというとキャピタルゲイン目的の銘柄。
エネルギーセクターだが、事実上は石油関連企業のETF。エネルギーセクターもリターンが大きいため購入。VHTと対象的に配当メインの銘柄。エネルギーセクターの値動きはS&P500の値動きとはあまり連動しておらず、資産分散の目的もあり購入。
個別株編
RTN(レイセオン):売上の9割が米国政府向けの軍事関連企業。宇宙開発、地政学リスク上昇、サイバー防衛系等諸々の理由により購入。個別銘柄だが、永久ホールド予定。
ABBV(アッヴィ):製薬業。割安で配当利回りが高かったので購入。運用方針が決まっていない時期に購入したので、時期を見て売却予定
SLB(シュルンベルジェ):石油掘削サービス業。原油価格が値上がりしていた時期に購入したが、原油価格下落とともに暴落し爆損。某所では2019年クソ銘柄20選にノミネート。時期を見て処分予定…と思っていたが、原油価格との相関性が高く、事実上のコモディティ銘柄でもあるため、ポートフォリオ設計が終わるまでは保留。
APTV(アプティブ):自動車部品メーカー。自動車用センサーや制御機器を作っており、自動運転関連銘柄として購入。昨年秋の株価下落で暴落したが、ある程度価格は戻してきた。この中では一番扱いに困っている。
個別株の保有目的が途中から意味不明になっていますが、明確な保有理由とそのチェックをしきれないためETFに切り替えた経緯があります。個別株は最終的にはレイセオン以外保有しない方針です。レイセオンを残すのは趣味です長期的に安定した経営をしているのと、代替するETFが無いためです(ITAは民間需要の比率が大きいためあまり買いたくない)
3.今後の購入方針
・毎日一定金額のドル転を続ける。米ドルを毎日一定金額購入し、一定金額に達したら買い増し…という今のスタイルを続行。
・レイセオン以外の個別株は次の運用方針が定まり次第処分。処分時に中期米国債ETFを入れ替わりで購入予定。
・コモディティ・金ETFについては設計が終わり次第購入。金についてはGLDやIAU等を第一に考えていますが、尖ったやり方も検討中…これは決まり次第記事にいたします。
以上が今後の大まかな運用方針です。相変わらず貴金属ETFを買う気配が無いですが、ポートフォリオの設計が終わり次第順次購入していく方針です。
[あとがき]
今回は普段の記事とは異なり取り留めのない内容となってしまいましたが、ポートフォリオ非公開の投資ブロガーというのも無責任な存在かと思い、公開にいたりました。また、金銀どころか鉱山会社株さえ買っていないというタイトル詐欺もいいところなブログであることを暴露してしまいましたが、商品選定を行いながら購入を考えていく目的で設立したブログなので、どうかお付き合いいただけたらと思います。
【PALL】パラジウムETF~Aberdeen Standard Physical Palladium Shares等【他2本】
前回のパラジウム記事に続いて、パラジウムのETFについてご紹介いたします。
metal-resources.hatenablog.com
はじめに申し上げますが、2019年3月現在のパラジウム価格は投機的な値動きをしており、書いている瞬間にも大きく変動しています。したがって、商品価格や時価総額等の数値については参考値とさせてください。また、ETFファクトシート等の参考資料は書かれた時期によりパラジウム価格が全く異なっているため、記事の内容に不整合が発生している可能性があります。
1.パラジウムETF(PALL)とは
PALLは金属パラジウムの地金を運用しているETFで、Aberdeen Asset Managementによって運営されています。NYSEに上場しているパラジウムのETFはこれが唯一になります。投資先としてはパラジウム地金を直接購入するもので、現物はロンドンに保管されています。
ちなみに、国内株式市場でパラジウムを買えるETFは2種類ありますので、珍しく日本の方が投資の選択肢が多い商品です。
ベンチマーク:Spot Palladium LPPM specifications
設定日:2009年12月30日
経費率:0.60%
時価総額:約255百万ドル
52週最高値:152.97ドル
52週最安値:79.61ドル
地金本数:1453本(2018年12月31日時点)
平均出来高:約43,400
この数年間は右肩上がりのチャートを描き、3月20日に最高値の152ドルをつけています。その後数日で20%近く下落していますので、かなり投機的な値動きをしていると言えるでしょう。この記事を書いている前日に6%以上値下がりした後、今日は3%以上の値上がりと、貴金属らしからぬ値動きをしています。出来高も平均は4万程度ですが、この記事を書いている前日は16万と、かなり過熱感を覚えます。
2.PALL vs GLD vs SPY
PALLとGLD(金ETF)、SPYの3年パフォーマンスを比較したところ、PALLはGLDとSPYいずれにも大幅にアウトパフォームしています。貴金属らしからぬ動きだと思いましたので、パラジウム、金、銀、白金と株価の相関係数を次に示してみます。
金、銀、白金の各貴金属はお互いに中程度の相関が見られる一方、パラジウムの値動きは他の貴金属とは異なっており、かなり異質さを感じます。
3.日本市場のパラジウムETF
日本国内市場に上場しているパラジウムETFも併せて紹介してしまいます。
・純パラジウム上場信託(現物国内保管型)(1543)
現在価格:45400円(3月29日現在)
管理会社:三菱UFJ信託銀行
経費率:0.54%
時価総額:約7億円
出来高:約730(3月29日現在)
現在価格:15790円(3月29日現在)
管理会社:ETFセキュリティーズ・マネジメント・カンパニー・リミテッド
ベンチマーク:Spot Palladium LPPM specifications(0.1ozあたり)
経費率0.49%
時価総額:約145億円
出来高:4(3月29日現在)
【1543】は国内の地金価格を参照するパラジウムETFで、時価総額は約7億円と米国のPALLよりも少ないですが、経費率は安いです。出来高は国内ETFの例に漏れずかなり少ないですが、あまり量を買う金融商品でもないでしょうから、PALLよりも利用価値は高いと言えるでしょう。
【1675】は更に経費率が安いですが、出来高がいくらなんでも小さすぎます。時価総額は書類上では多いですが、そもそも購入機会が無いと言えます。正直言って、かなり謎なETFです。保管管理はHSBC銀行USAで行っているようです。
いずれの国内パラジウムETFについて言えることですが、単位重量(1g)あたりの価格はPALLとほぼ同一です。出来高の少なさによる流動性コストはあるでしょうが、パラジウムはわざわざ海外ETFであるPALLを購入せずとも、【1543】パラジウム上場投資信託で済むと思います。海外ETFより国内ETFの方が有用と言える珍しい例かもしれません。私はいずれも遠慮しておきますが。
4.パラジウムの保管や備蓄に関する勝手な想像
正直なところ個別金属ETFは書くことがあまりないので、パラジウムの保管と備蓄について想像してみます。パラジウムを地金として保管しているとのことですが、どれだけの物量感になるのか少々検討してみます。数値は2018年12月31日付けのデータで計算しました。
総額187百万[USD]÷パラジウム価格1270[USD/オンス]≒14.7万オンス⇔4570kg
14.7万オンス÷1450本≒100オンス/本⇔3.1kg/本
1本当たりの地金の重量は約3.1kgで、1450本あります。パラジウムの比重は12g/ccですので、4570kgのパラジウムの体積は
4670kg÷12kg/L≒380L
となります。空間の半分程度専有するように配置した場合でも、1m3もあれば収まりそうですので、それほど広い空間は必要なさそうです。大型の金庫にでもしまっているのかもしれませんね。
また、保管管理しているパラジウム約4.6トンですが、これは年間の世界需要である約300トンには遠く及びません。仮にPALLを精算してパラジウムを市場に放出したとしても、気休め程度の供給量と言えるでしょう。
一方で、国内で保管管理している【1543】のパラジウムは時価総額で約7億円、重量に換算するとわずか約170kgしかありません。日本国内のパラジウム輸入量は約60トン程度のため、国内備蓄としては役にたたないでしょう。
以上は手元にあるデータを元にした完全な想像です。
5.結言
・パラジウムETFは国内ETFの方が質・量ともに充実している。ただし出来高が少ないので、売買時は注意
・パラジウム価格は金、銀、白金、株式いずれにもほとんど連動しない投機的な値動き。
・個別金属ETFは書くことが無い
あとがきというか雑感
価格高騰が叫ばれるパラジウムですが、投資先としては非常に難しいと言えるでしょう。時価総額や取引量もさほど大きくなく、政治や報道に振り回されて非常に投機的な値動きをしています。前回の記事でも書きましたが、このように価格や供給が不安定な原材料を用いている場合、代替品を開発するモチベーションにつながってしまいます。いずれのETFも地金で保証された金融商品ですが、金属として担保されているのと資産としての価値が担保されているのは別と考える必要があると思います。
3月29日現在、海外ETF村の週間INで3位を拝受しております。
これも当ブログを来訪して頂いております皆様のおかげです。
今後も当ブログ”レアメタル投資入門"をよろしくお願いいたします。
【金属のお話】パラジウムが過去最高値を更新。そもそもパラジウムとは?
今日のニュースで、パラジウム国際価格が上場来最高値を更新したととの報道がありました。
自動車の排ガス触媒に使う工業用貴金属、パラジウムの国際価格が上昇している。ニューヨーク先物は日本時間19日夕の取引で1トロイオンス1550ドル前後と前日に比べ11ドル高く推移。過去最高値を更新した。東京商品取引所でも19日の清算値が1グラム5211円となり、上場来高値を更新した。…日経新聞記事より引用
パラジウム5211円/gというのは、白金の価格である1g約3,400円よりも高価な状態です。
今日はパラジウムというあまり聞き慣れない金属について紹介していきたいと思います。
1.パラジウムの用途・産地
パラジウムは白金族の貴金属で、自動車用排ガス触媒をはじめ、化学触媒、歯科用材料、電子回路用配線パターン、宝飾品などに使用されています。その用途のほとんどが自動車用排ガス触媒で、世界で消費されるパラジウムの80%以上が排ガス触媒に使用されています。
パラジウムの生産地はロシアと南アフリカに偏在しており、約40%がロシアと南アから供給され、その他が20%と極端な供給体制となっています。昨今のパラジウム価格の高騰は、自動車の排ガス規制とロシアの貴金属スクラップ輸出規制が懸念されることによるものとのことです。
パラジウムを生産するロシアのノリリスク・ニッケル社が公表している資料によると以下の見解を述べています。
・パラジウムはガソリンエンジンの排ガス処理用触媒としては白金よりも効率的
・代替システムの開発には少なくとも2年以上が必要
・中期的にはパラジウム価格が白金価格を上回るだろう
ちなみに、ノリリスク・ニッケル社の昨年のパラジウム生産量は約43トンであり、ロシアの生産量におけるシェアの約半分。世界シェアの実に約20%を占めています。他にもプラチナやニッケル等を産出するロシア最大の鉱山会社であり、名前を冠するノリリスクという街に採掘生産拠点を保有しています。
2.今後の動向予想
各メディアではパラジウムの価格上昇は継続するだろうという見方を示しています。短期的には価格は高騰するかもしれませんが、長期的に値上がりするかという点については、私は懐疑的に考えています。理由としては、
・需要が自動車向けに偏っており、景気減速時は影響を強く受けることが予想される
・ガソリンエンジンは今後電気自動車に置き換えられる流れである
・触媒材料は価格が値上がりしすぎると、代替素材が開発される
・各国の当局による規制が複雑に合わさった結果の価格高騰であり、需給による価格ではないと思われる。
などが挙げられます。いずれにしても、値上がりしているからとパラジウムETFに飛びつく予定は…無いです。が、次回はパラジウムETFの紹介をしようかと思っています。また、パラジウムを生産しているノリリスク・ニッケル社も興味深い会社であるため、いずれ取り上げたいと思います。
3.結言
・パラジウムは自動車用排ガス触媒に用いられる貴金属
・パラジウム価格高騰中。排ガス規制の強化と、ロシア当局の規制によるものとされている。
[引用文献]
世界のパラジウム需給推移表:JOGMECマテリアルフローより
おまけ
ブログ村に登録しました。ジャンルは「海外ETF」です。ジャンルについては悩みましたが、コモディティETFネタを取り扱っているので海外ETFにしました。日本市場のETFも紹介しますが、米国株村でも1557が紹介されてますし、採用指数が海外だからきっとセーフです。
【PDBC】インベスコ・オプティマム・イールド・ディバーシファイド・コモディティ・ストラテジー No K-1【総合コモディティアクティブETF】
今回は総合コモディティETFのトリを飾りますInvesco Optimum Yield Diversified Commodity Strategy No K-1 ETF(通称PDBC)についてご紹介します。PDBCは先日紹介した総合コモディティETFであるDBCの亜種にあたりますが、運用方針に色々と違いがあり、非常に面白い商品です。
metal-resources.hatenablog.com
どうでもいいけど、PDBCの正式名称めっちゃ長いよ!
・Invesco DBオプティマム・イールド・ディバーシファイド・コモディティ・ストラテジーETF(PDBC)とは
PDBCはDB(Deutche Bank)の公表するベンチマークDBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Indexを上回るように設計した運用を行うファンドです。つまり、ETFでありながらインデックスに連動するパッシブファンドではなく、アクティブファンドに分類されます。
ベンチマーク:アクティブファンド
純資産:約19.2億ドル
経費率:0.60%
取引所:NYSE Arca
52週最高値:19.48米ドル
52週最安値:14.84米ドル
PDBCはDBCと同様に14種類の商品を投資対象としていますが、インデックス連動ではないためアクティブファンドに分類されます。先程から「アクティブファンドに分類される」という言い回しをしていますが、これはPDBCがイメージにあるようなアクティブファンドには該当しないためです。PDBCはDBCの連動先となるDBIQを参照して構成されていますが、インデックスに連動をさせていないため定義上はアクティブファンドに分類されています。
・PDBC vs DBC
PDBCとDBCの商品構成について、比較表を掲載します。
構成はほとんど同一で、間違い探しのレベルの差しかありません。信託手数料はPDBCの方が安く、DBCの経費率は0.89%もあるのに対して、PDBCの経費率は0.60%と、インデックス投信よりもアクティブ投信の方が安いという奇妙なことになっています。また、両者は商品構成こそほぼ同一なものの、DBCは純粋な商品先物のみで構成されている一方で、PDBCはスワップ取引を多用しており、3月16日時点で構成の約71%がトータル・リターン・スワップとなっています。構成されているトータル・リターン・スワップの名称については公開されていますが、その内情についてはうかがい知ることはできませんでした。
PDBC設立以来の総合コモディティETF同士の相関係数と標準偏差を比較表にしてみました。DBCの紹介記事において、総合コモディティETFは原油依存性が高すぎることを指摘ましたが、PDBCは総合コモディティETFとしては最も原油依存性が低いです。
一方で、PDBCとDBCのパフォーマンスを比較してみると、わずかですがPDBCがDBCを下回っています。経費率ではPDBCの方が安いことから、理論上はPDBCのパフォーマンスが勝るはずなのですが、現状ではDBCにアンダーパフォームしています。しかし、設立が2014年と新しいETFであることと、(準)アクティブファンドという性質から、長期的にはPDBCのパフォーマンスが改善する可能性は十分にあると思います。事実として、一時的にはPDBCのパフォーマンスがDBCを上回っている時期も存在します。
以上より、PDBCは商品構成に不明瞭な点こそあるものの、総合コモディティETFとして優秀なDBCを更に改良した、期待の持てる総合コモディティETFであると思います。私が総合コモディティETFを買うとしたら、DBCよりPDBCを選ぶ可能性が高いです。唯一残念な点としては、現在のところはSBIやマネックスといった大手ネット証券での取扱はされておらず、サクソバンクのみで購入が可能です。
・結言
1.PDBCはDBCとほぼ同一の商品比率で構成されたアクティブETF
2.名目上はアクティブETFだが、実際はパッシブファンドの値動きに近い。経費率はパッシブファンドであるDBCよりも安い
3.石油への依存度はDBCよりもやや低い
4.総合コモディティETFとしては、DBC以上の可能性を秘めている(かもしれない)
5.PDBCを購入できるのはサクソバンク証券だけ
・おまけ
DBCが用いているインデックスの名前は「DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity」です。PDBCの正式名称は「Invesco Optimum Yield Diversified Commodity Strategy No K-1」なので、PDBCは連動していないインデックスの名前を自身につけていることになります。あー、ややこし。(そもそも、DBの名前を入れていいのだろうか、そこが知りたい)
以下、過去の記事です。
metal-resources.hatenablog.com総合コモディティETF紹介その2
metal-resources.hatenablog.com
【DBC】インベスコ DBコモディティ・インデックス【総合コモディティETF】
今日はもう一つの総合コモディティETFの代表格、Invesco DB Commodity Index Tracking Fund(通称DBC)についてご紹介します。
・Invesco DBコモデティインデックスファンド(DBC)とは
DBCはDB(Deutche Bank)の公表するベンチマークDBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Indexに連動するスマートベータETFです。多様化した収益最適化コモディティインデックスとでも訳しましょうか。インベスコはDBなんちゃらというコモディティETFをいくつも取り扱っておりますが、DBCはその一つです。コモディティ全般に分散投資する総合コモディティETFの代表格でもあり、先日紹介したGSGとよく比較されます。一方で、日本の投資ブロガーにはなぜか人気が無いらしく、解説しているサイトは少ないです。したがって、少々掘り下げて考察いたします。
ベンチマーク:DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Return
純資産:約22億89万ドル
経費率:0.85%
取引所:NYSE Arca
52週最高値:18.65米ドル
52週最安値:14.32米ドル
・DBCの構成とGSGとの比較
DBCの構成品目とその比率を元に、DBCとGSGの比較を行いました。
DBCは14種類の商品先物に連動するファンドですが、同じ総合コモディティETFであるGSGと比較すると、品目が限定されており、GSGでは組み入れている主要農作物や家畜製品等はDBCには含まれていません。また、DBCはその構成比率も頻繁に変化しており、スマートベータETFらしさが出ている感があります。その代わりでしょうか、品目数が少ないにもかかわらずGSGよりも経費率が高いです。
もう一つGSGとの大きな差異としては、貴金属の組入率が高い点が挙げられるでしょう。品目こそ少ないですが、結果的に分散は図られている印象です。エネルギー関連商品への偏重も少し緩和されています。
GSGとDBCを比較するため、構成品目に相当するコモディティセクターごとに相関性をとってみました※。GSG、DBCともにDBOすなわち石油ETFに強い相関性を持つことがわかります。一方で両者ともにDBB、DBP、DBAといったその他の商品ETFとの相関性は低く、影響が限られていることがわかります。しかしながら、GSGはほぼ石油が支配的でありその他の影響は軽微である一方で、DBCは石油による影響は若干ですが軽減されていることが見受けられます。いずれにしても、コモディティETFは石油価格に非常に強く影響を受けていることは見て取れます。
※DBO:石油ETF、DBB:工業用金属ETF、DBP:貴金属ETF、DBA:農作物ETF
・リターン比較 DBC vs GSG
次にDBCとGSGのリターンを比較します。
3年間のパフォーマンスを比較すると、DBCがアウトパフォームしています。経費率そのものはGSGの方が安いことから、DBCの方が優れた指標を採用していると言えるでしょう。しかしながら、ボラティリティの大きさと原油への依存率からDBCを積極的に購入すべきとは言えないかもしれません。DBCはコモディティETFを採用する上では筆頭候補であることは事実ですが、石油系商品への依存度が高すぎる点と、そもそも商品全体に分散投資をすることに妥当性があるのかという点が疑問点となります。言い換えると、コモディティを購入するにあたり総合コモディティETFを採用する理由自体が薄いのではないかという考えに至ります。
・結言
1. DBC(インベスコDBコモディティ・インデックス)は構成品目こそ少ないが、バランスの取れた総合コモディティETFである。
2. DBIQのインデックスは採用品目の構成比率を頻繁に調整しており、ETFの経費率は高いが結果的に高パフォーマンスを発揮してきている。
3. 構成比率のうち過半数を石油が占めているため、石油価格に強く依存する。
4. 総合コモディティETFとしては優秀であると思われるが、総合コモディティETF購入の必要性は疑問視される。