【金属のお話】パラジウムが過去最高値を更新。そもそもパラジウムとは?
今日のニュースで、パラジウム国際価格が上場来最高値を更新したととの報道がありました。
自動車の排ガス触媒に使う工業用貴金属、パラジウムの国際価格が上昇している。ニューヨーク先物は日本時間19日夕の取引で1トロイオンス1550ドル前後と前日に比べ11ドル高く推移。過去最高値を更新した。東京商品取引所でも19日の清算値が1グラム5211円となり、上場来高値を更新した。…日経新聞記事より引用
パラジウム5211円/gというのは、白金の価格である1g約3,400円よりも高価な状態です。
今日はパラジウムというあまり聞き慣れない金属について紹介していきたいと思います。
1.パラジウムの用途・産地
パラジウムは白金族の貴金属で、自動車用排ガス触媒をはじめ、化学触媒、歯科用材料、電子回路用配線パターン、宝飾品などに使用されています。その用途のほとんどが自動車用排ガス触媒で、世界で消費されるパラジウムの80%以上が排ガス触媒に使用されています。
パラジウムの生産地はロシアと南アフリカに偏在しており、約40%がロシアと南アから供給され、その他が20%と極端な供給体制となっています。昨今のパラジウム価格の高騰は、自動車の排ガス規制とロシアの貴金属スクラップ輸出規制が懸念されることによるものとのことです。
パラジウムを生産するロシアのノリリスク・ニッケル社が公表している資料によると以下の見解を述べています。
・パラジウムはガソリンエンジンの排ガス処理用触媒としては白金よりも効率的
・代替システムの開発には少なくとも2年以上が必要
・中期的にはパラジウム価格が白金価格を上回るだろう
ちなみに、ノリリスク・ニッケル社の昨年のパラジウム生産量は約43トンであり、ロシアの生産量におけるシェアの約半分。世界シェアの実に約20%を占めています。他にもプラチナやニッケル等を産出するロシア最大の鉱山会社であり、名前を冠するノリリスクという街に採掘生産拠点を保有しています。
2.今後の動向予想
各メディアではパラジウムの価格上昇は継続するだろうという見方を示しています。短期的には価格は高騰するかもしれませんが、長期的に値上がりするかという点については、私は懐疑的に考えています。理由としては、
・需要が自動車向けに偏っており、景気減速時は影響を強く受けることが予想される
・ガソリンエンジンは今後電気自動車に置き換えられる流れである
・触媒材料は価格が値上がりしすぎると、代替素材が開発される
・各国の当局による規制が複雑に合わさった結果の価格高騰であり、需給による価格ではないと思われる。
などが挙げられます。いずれにしても、値上がりしているからとパラジウムETFに飛びつく予定は…無いです。が、次回はパラジウムETFの紹介をしようかと思っています。また、パラジウムを生産しているノリリスク・ニッケル社も興味深い会社であるため、いずれ取り上げたいと思います。
3.結言
・パラジウムは自動車用排ガス触媒に用いられる貴金属
・パラジウム価格高騰中。排ガス規制の強化と、ロシア当局の規制によるものとされている。
[引用文献]
世界のパラジウム需給推移表:JOGMECマテリアルフローより
おまけ
ブログ村に登録しました。ジャンルは「海外ETF」です。ジャンルについては悩みましたが、コモディティETFネタを取り扱っているので海外ETFにしました。日本市場のETFも紹介しますが、米国株村でも1557が紹介されてますし、採用指数が海外だからきっとセーフです。