【DBC】インベスコ DBコモディティ・インデックス【総合コモディティETF】
今日はもう一つの総合コモディティETFの代表格、Invesco DB Commodity Index Tracking Fund(通称DBC)についてご紹介します。
・Invesco DBコモデティインデックスファンド(DBC)とは
DBCはDB(Deutche Bank)の公表するベンチマークDBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Indexに連動するスマートベータETFです。多様化した収益最適化コモディティインデックスとでも訳しましょうか。インベスコはDBなんちゃらというコモディティETFをいくつも取り扱っておりますが、DBCはその一つです。コモディティ全般に分散投資する総合コモディティETFの代表格でもあり、先日紹介したGSGとよく比較されます。一方で、日本の投資ブロガーにはなぜか人気が無いらしく、解説しているサイトは少ないです。したがって、少々掘り下げて考察いたします。
ベンチマーク:DBIQ Optimum Yield Diversified Commodity Index Excess Return
純資産:約22億89万ドル
経費率:0.85%
取引所:NYSE Arca
52週最高値:18.65米ドル
52週最安値:14.32米ドル
・DBCの構成とGSGとの比較
DBCの構成品目とその比率を元に、DBCとGSGの比較を行いました。
DBCは14種類の商品先物に連動するファンドですが、同じ総合コモディティETFであるGSGと比較すると、品目が限定されており、GSGでは組み入れている主要農作物や家畜製品等はDBCには含まれていません。また、DBCはその構成比率も頻繁に変化しており、スマートベータETFらしさが出ている感があります。その代わりでしょうか、品目数が少ないにもかかわらずGSGよりも経費率が高いです。
もう一つGSGとの大きな差異としては、貴金属の組入率が高い点が挙げられるでしょう。品目こそ少ないですが、結果的に分散は図られている印象です。エネルギー関連商品への偏重も少し緩和されています。
GSGとDBCを比較するため、構成品目に相当するコモディティセクターごとに相関性をとってみました※。GSG、DBCともにDBOすなわち石油ETFに強い相関性を持つことがわかります。一方で両者ともにDBB、DBP、DBAといったその他の商品ETFとの相関性は低く、影響が限られていることがわかります。しかしながら、GSGはほぼ石油が支配的でありその他の影響は軽微である一方で、DBCは石油による影響は若干ですが軽減されていることが見受けられます。いずれにしても、コモディティETFは石油価格に非常に強く影響を受けていることは見て取れます。
※DBO:石油ETF、DBB:工業用金属ETF、DBP:貴金属ETF、DBA:農作物ETF
・リターン比較 DBC vs GSG
次にDBCとGSGのリターンを比較します。
3年間のパフォーマンスを比較すると、DBCがアウトパフォームしています。経費率そのものはGSGの方が安いことから、DBCの方が優れた指標を採用していると言えるでしょう。しかしながら、ボラティリティの大きさと原油への依存率からDBCを積極的に購入すべきとは言えないかもしれません。DBCはコモディティETFを採用する上では筆頭候補であることは事実ですが、石油系商品への依存度が高すぎる点と、そもそも商品全体に分散投資をすることに妥当性があるのかという点が疑問点となります。言い換えると、コモディティを購入するにあたり総合コモディティETFを採用する理由自体が薄いのではないかという考えに至ります。
・結言
1. DBC(インベスコDBコモディティ・インデックス)は構成品目こそ少ないが、バランスの取れた総合コモディティETFである。
2. DBIQのインデックスは採用品目の構成比率を頻繁に調整しており、ETFの経費率は高いが結果的に高パフォーマンスを発揮してきている。
3. 構成比率のうち過半数を石油が占めているため、石油価格に強く依存する。
4. 総合コモディティETFとしては優秀であると思われるが、総合コモディティETF購入の必要性は疑問視される。