レアメタル投資入門

貴金属ETFを組み込んだ最適なポートフォリオを作ろう!という目的ではじめましたが、最近はイロモノETFの紹介サイトになりつつあります。

~定期預金より儲かるタンス預金があった~タンス預金は5円玉で行え!?

 こんにちは。スラインです。

 GSGに続いて総合コモディティETFをご紹介しようかと思っていたのですが、最近のネタがマニアックすぎると思いまして、小ネタを挟んでいきます。

 今回は、実はタンス預金は定期預金より儲かるのではという考察です。

 

f:id:srin_material:20190302013510g:plain

実は最強の硬貨「5円玉」(正式名称:5円黄銅貨幣)

 

・最も身近なレアメタル「硬貨」

 最近、ブログ題材であるレアメタルから離れていたので、最も身近なレアメタルである「硬貨」について取り上げたいと思います。なお、記念硬貨や現在では流通していない硬貨は対象外とします。

 ご存知の通り、日本国内で現在流通している硬貨は1円、5円、10円、50円、100円そして500円です。

 各硬貨の重量と成分は次の通りです。

f:id:srin_material:20190302013028p:plain

 1円玉はアルミニウムを使用している唯一の硬貨です。また、それ以外の硬貨の主成分は銅です。100円玉はニッケルのイメージが強いですが、ニッケル含有率は25%程です。

 これら硬貨は金属でできているため、材料の相場が存在します。

 使用されている金属の相場と、硬貨ごとの原価は次の通りです。

f:id:srin_material:20190302013214p:plain 

f:id:srin_material:20190302013249p:plain

  10円以下の硬貨と50円以上の硬貨で、原価率に大幅な差があることが見てわかります。5円玉の原価率は40%に近く、際立って原価率が高いです。10円玉も原価率が30%近いです。特に10円玉は流通量も多いでしょうから、毎年の製造コストは相当なものになることが想像できます。1円玉は原価率が高いことで知られていますが、それでも20%程度です。

 

 ・金属価格の推移と、未来予想

 原価率が高い5円玉でも原価率は40%であるため、5円玉の価値は5円でしかありません。しかし、5円玉の将来を想像すると、その見方は大きく変わってきます。 

f:id:srin_material:20190302013908p:plain

 上のグラフは1960年から2018年までの硬貨に使用されている金属の価格推移です。単価の差が大きいためわかりにくいですが、長期的には上昇傾向にあります。これはインフレ率によるもので、日本の物価が横ばいでも世界的には物価は上昇しています。

 

f:id:srin_material:20190302013938p:plain

 次に、金属価格の1960年比のグラフをお見せいたします。参考として、金と銀の価格も付け加えます。金と銀の価格上昇率が高く、スズ・ニッケル・亜鉛の工業用金属の上昇率は概ね同等です。一方で、アルミニウムの上昇率だけが著しく劣後しています。

 

f:id:srin_material:20190302013951p:plain

 1960年からの価格推移を元に、金属の年間平均値上がり率を計算したものが上の表です。この値上がり率を見ると、硬貨に金や銀が使われなくなった理由がわかる気がします。元から単価の高い貴金属である上に、他金属に比べても値上がり率が高い傾向があるため決済用通貨として市中に流通させるには不向きなのでしょう。アルミ以外の工業用金属の年間値上がり率はやはり同じ程度です。亜鉛がやや高い印象ですが、誤差の範囲でしょう。

 約60年間の金属価格の値上がりが今後も続くと仮定すると、資産を5円玉にしてタンス預金した場合の資産価値の予想チャートは以下のようになります。5円玉の金属価格が5円未満では5円、それ以上では時価予想額を資産価値としています。比較のため利率0.02%の定期預金のチャートも付け加えました。 

f:id:srin_material:20190302014011p:plain

 なんということでしょう。

 タンス預金している5円玉の価値が、24年後に5円を上回りました。翌年には定期預金も上回り、その後は世界のインフレに伴って資産が順調に増えています。これだけでも硬貨を保有するメリットがあると言えます。

 また、5円玉によるタンス預金には様々なメリットが考えられます。

・定期預金と違って即座に現金として使用できる。

・重量がかさむため、盗難被害に合いにくい。五千円あたり3.75キログラムあるため、百万円しまいこんでいた場合700キロを超える。1万円札100枚なら容易に持ち出せるが、5円玉20万枚を盗むのは困難。

・真ん中に穴が開いているのでワイヤーを通して束で管理できる。アンカーでワイヤーを固定すれば奪取は困難。

・金属であるため火災や自然災害に強い。1万円札は火事になったら家とともに焼けてしまうが、5円玉なら焼け残る。ワイヤーで固定すれば地震津波にも耐えうる。

 

 こち亀で、銀行強盗をなくすため最高額の貨幣を10円玉にすれば重くて盗まれないというネタがありましたが、こう考えてみると決してバカな話とは断言できないと思います。また、約24年後に5円玉の原価が5円を超えるということは、それまでに5円玉の製造が終了する可能性が高いということでもあります。今の5円玉は日常的に決済用通貨として用いられていますが、そう遠くない未来に日常生活では使われなくなることが予想できます。

 一方で、「ご縁」に通じる縁起物ということで寺社仏閣へのお賽銭に用いられていることから、お参りの時に使う専用通貨として、神社の入り口などで販売されるような儀礼品になるという未来も予想できます。製造中止後から更に遠い未来のことになるでしょうが。  

 加えて、5円玉を最も容易に入手できるのも寺社仏閣であることから、高額紙幣に両替せずに敷地内に溜め込んでおいて、数十年後に活用するというやり方も取れるでしょう。(置き場も広く用意できるでしょうし、何より収入をかk(以下削除))

f:id:srin_material:20190302014909j:plain

 

  5円玉では入手性に難があるかもしれないので、参考として10円玉でタンス預金した場合のチャートも掲載します。こちらは32年後にターニングポイントが訪れます。

f:id:srin_material:20190302014947p:plain

 

・結言

 5円玉(または10円玉)でタンス預金をすれば、定期預金のリターンを上回る可能性が高いということをお伝えいたしました。あらゆる投資は原価割れのリスクを伴いますが、この手法ならば通貨としての価値は保証されるため、ほぼノーリスクで行えます。実際のところは収集の手間や管理スペースの都合で実現性は高く無いですが、『絶対にお金を手元で保管したい』という方がいれば、覚悟を決めて行うべきでしょう。硬貨は紙幣と比較して堅牢性が段違いです。災害や犯罪を強調して述べていますが、預金や商品取引ではなく現金・現物商品を持つことが有利な状況とは、戦争や政治的混乱下、破局的災害に他なりません。(しかしながら素直に金を購入する方がよほど楽だと思いますけれど)

 また、定期預金ならばお金は減らないから安心と思い込んでいる方が多いですが、世界の物価のインフレを考慮すると実質減っています。現金の保有は必要十分量に留め、適切なアセットアロケーションを選択することが必要だと思います。

 

 資産を硬貨で保有するネタ元はこの本です