【GSG】iシェアーズ S&P GSCIコモディティ・インデックス・トラスト【コモディティ総合ETF】
今日はコモディティETFの代表格でもある、iシェアーズ S&P GSCI コモディティ・インデックス・トラスト (通称GSG)についてご紹介します。
・iシェアーズ GSGとは
・iシェアーズ GSGとは
iシェアーズ S&P GSCIコモディティ・インデックス・トラスト(GSG)はコモディティ・インデックスに対応する投資成果を上げることを目標に設計されたETFです。
ベンチマーク:S&P GSCI Total Return Index
純資産:約12億ドル
経費率:0.75%
取引所:NYSE Arca
52週最高値:18.81米ドル
52週最安値:13.50米ドル
GSCIコモディティ・インデックス・トラストは世界の石油、農作物、金属等の取引可能な商品の指数です。各商品の構成比率は以下の通りです。
エネルギー(原油)が約63%と大半を占めており、農作物が次いで15%、家畜が7%ほどです。農作物と家畜の細かいカウントの仕方までは調べませんでしたが、家畜には豚肉や牛肉が含まれるようです。わざわざ肉類とも読める項目を作るあたりアメリカ人にとって肉は相当重要な生活必需品なのでしょう食料品というくくりでないのは、おそらく綿花なども含まれるからだと思われます。一方で当ブログの主役である金属はというと、工業用金属(銅アルミ等)が11%、貴金属が4%ほどでしかなく、両方足しても農作物以下です。この貴金属には金も含まれるため、商品取引における金へのウエイトはイメージよりかなり小さいと言えます。実は金とかじゃなく食肉を資産の基本と考えるベーコン本位制経済でもやった方が世界の実情にあっているのじゃないだろうか。
さて、話をGSGに戻します。
通常ETFの運用について解説する場合、ベンチマークではなくETFごとの資産構成で議論を行います。それにもかかわらず、GSGの資産構成ではなくGSCIの構成比率を解説していますが、まずはiシェアーズGSGの資産構成をご覧ください。
構成比率のほぼ100%が債券となっています。どうしてこうなったのか頭をひねったのですが、債券の償還日が1週間後であったことと、GSCIをわずかに保有しておりリストの末尾に名前があったことから、資産は実質ほぼ全部現金で保有しているのではないかという結論に至りました。つまり、資産構成は取引用の資金で、取引中以外は現金で保有しているからこのような資産構成をしているものかと思われます。言い換えると、運用レポートからでは資産の実態がわからないということになります。
上のグラフは10年間のETFとベンチマークのパフォーマンス推移を比較したものです。ベンチマークよりトータル・リターンが大幅に下方乖離していますが、これは経費率の高さによるものでしょう。また、経費率以外にパフォーマンスを押し下げる要素として、コモディティETF特有の「ロールオーバー」というものが存在します。コモディティは通常先物に投資しますが、先物には期限があるために定期的に先物の買い替えをする必要があります。これをロールオーバーと言い、先物価格上昇による利益が受けにくくなる原因となります。また、インデックス投資はその性質上乗り換えの日時が公表されているため、ETFによるロールオーバーを見越した取引が行われてしまい、一層パフォーマンスが悪化してしまいます。イメージで言うと、ダウ平均からどの銘柄がいつ除外・追加されるのか予定と周知がされているものといった感じでしょうか。
以上諸々の商品構造の特性による懸念事項はありますが、GSGはベンチマークからの大幅乖離はしていませんので、インデックス通りに運用できているとは言えそうです。
ここまでで考察できることとして、商品取引はインデックス取引としては不向きなジャンルであると言えるかもしれません。また、商品取引の中でも金属の市場規模があまり大きくないという点でも、投資の難しさがあると思えてしまいます。