【銀ETF】~銀への投資~【SLV &1542】
不安定な天候が続く残暑の中、いかがお過ごしでしょうか。今回は銀ETFの紹介を行いたいと思います。ちなみに、現在の銀価格は約60円/グラム程度です。
1.銀の用途・産地
銀は金と同様に通貨や宝飾品として古来より用いられている金属です。延性・展性に優れており、電気抵抗率も最も低い金属です。工業用としても広く利用されており、かつてはフィルムの感光材として用いられていましたが、現在は太陽光パネル材料や電子材料としての用途が主となっています。銀イオンは殺菌作用を持つため、抗菌剤としても用いられています。
銀の主な産地はメキシコ、ペルーといった中南米で、中国・ロシアが続いています。
2.SLV iシェアーズ シルバー・トラスト
SLVは銀価格に連動するETFで、米国に上場する銀ETFとしてはほぼ唯一のものになります。
ベンチマーク:LBMA銀価格
純資産:約65.7億ドル
経費率:0.5%
銀保有量:約3億8544万オンス(約1.1万トン)
52週最高値:16.36ドル
52週最安値:13.11ドル
平均出来高:約16百万
銀価格は近年低迷していましたが、ここ最近値上がりしてきています。
金、銀と株式の相関係数、年次リターン及び標準偏差も掲載します。同じ貴金属である金との相関係数は0.74と強い相関があります。一方でリターンについては金に劣後しており、2年間のリターンは依然としてマイナスです。(ここ最近の金価格が高騰しすぎているという面もあるでしょうが)標準偏差も金より大きく、S&P500よりも大きな値動きを示しています。
3.1542純銀信託(純銀上場信託)
日本市場の銀ETFである1542純銀信託についても併せてご紹介します。
管理会社:三菱UFJ信託銀行
純資産:48億円
経費率:0.54%
年初来高値:5,440円
年初来安値:4,780円
取引量:1,292株(2019/8/23)
東証ETFとしては取引量が多いですが、SLVとは文字通り桁違い(に少ない)です。経費率はSLVより高いですが、購入手数料等を加味すると大差ないかと思います。実は1542以外に1673という銀ETFもありますが、取引量の少なさからご紹介はしておりません。(東証ETFはこんなのばっかり)
4.総評
金銀と並べて評される貴金属ですが、銀は金と比べて値動きが大きく、ETFの経費率も高い傾向があります(金は0.25~0.4%程度)。株式、金とも異なる資産としてある程度は有用かと思います。国内ETF、海外ETFはどちらも一長一短ですが、大量に購入するのでなければ国内ETFでも十分かと思います。
また、銀ETF以外にも総合コモディティETFや貴金属ETFにも銀が組み入れられているので、必ずしも銀ETFを個別で買う必要が無いことは留意すべきでしょう。(ETFなのに個別銘柄とはこれ如何に)
5.雑感
SLVの銀保有量1.1万トンですが、世界の年間供給量の1/3程度とすごい量になっています。需給表を読むと、ETFの在庫構築のために年間千トン単位で購入されている年もあり、貴金属としての強さは健在と言えるでしょう。SLV以外にも総合コモディティETFに銀は組み入れられていることから、ETFのための銀需要の大きさは光ります。(しかし、どこに保管しているのやら)
[参考文献]
JOGMEC マテリアルフロー2018
各ファクトシート